‘健康コラム’ カテゴリ

脳梗塞や心筋梗塞を予防する

朝、起き抜けにコップ1杯の水を飲んでいますか?喉が渇いていないけど、どうして?
理由は寝ている間に約200㎜l(コップ1杯分)の水分が汗として失われているからです。体から水分が失われると、血漿(血液の半分以上を占める液体成分)が血液中の水分補給に回ります。その結果、サラサラ流れていた血液は水分を失って粘りを帯び、かたまりやすくなって脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしやすくなります。この連鎖を断ち切るのは失われた分の水分補給。死にも直結する病気予防がコップ1杯の水で回避することができるのですから、起き抜けの水が「薬」と評価されても当然ですよね。
水分補給は、日中も大切です。人間は約60%の水分と40%の各種成分で構成され、1日に約2ℓもの水分を尿や汗などで体外に排出しています。だから同量の水分を補給するのは必然不可欠。補給する水分の半分は野菜や果物などから、残りを飲み水から補給しているので、水分を摂る事は大切なのです。
だからといって水の飲み過ぎは要注意。「水分を控えると病気にならない」ということわざがあるように、水分の摂り過ぎは体を冷やす原因になります。過剰な水分摂取や冬に夏野菜を食べるなどの食生活で、日本人の平均体温(36.3~36.5℃)は下がり気味です。体温が1℃下がると白血球の働きが約30%低下するといわれ、体温の低下は免疫力を下げてがん細胞を増殖させる原因にもなりやすいのです。片手にペットボトルが昨今のスタイルのようになっていますが、水分の摂り過ぎにはくれぐれも気をつけて欲しいですね。
賢い水の摂り方は1~2時間おきにコップ1杯程度。体が一度に摂り込める水分は200㎜l位といわれており、それ以上の水分摂取は逆にむくみなどの原因にもなりかねません。
水と一口にいっても、純粋なH2Oもあれば、ミネラル含有の水もあります。もちろん体にいいのは天然のミネラル水。古くから、ミネラル豊富な雪解け水の発生する地域では、微生物の成長が活発で、生息する動物は成長が早く病気にならないといわれています。毎年10%の伸びを見せているミネラル水ですが、定義は国により若干異なりますが、「ミネラルが溶け込んだ地下水を原水とする」という点では一致しています。

                              沢木みずほ(『週刊金曜日』より)

理由はヒトの消化酵素では消化されないグルコマンナン

体の砂払いの「砂」とは「老廃物」のこと。だから「体の砂払い」は「体内の老廃物を排出する」という意味です。こんにゃくは成分の約97%が水分で栄養価はゼロに等しい食べ物。にもかかわらず、ことわざに登場した理由は体内の老廃物を排出する働きを持っているからです。老廃物排出は、動物が健康を維持していく上で欠かせない生理メカニズム。そんな重要な働きをこんにゃくが持っていることを、遥か昔から人々は暮らしの中で知っていたのです。
昨今、特に若い女性にとってのこんにゃくはダイエット食品ですが、昔の子どもたちにとっては体内を浄化する食べ物でした。小さい時からこのことわざを聞かされ、特に男の子は「睾丸(こうがん)の砂を取り除く」という理由で、定期的にこんにゃくを食べさせられました。「こんにゃくは男の砂払い」などということわざもあったほど。でも実はこれ、全くの俗信ですから。
こんにゃくの老廃物排出機能は、グルコマンナンという食物繊維によるものです。グルコマンナンはヒトの消化酵素では消化されない水溶性の食物繊維。消化されない状態で腸に届くため、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、腸内の便をやわらかくし、腸内に残っている老廃物を絡め取って排泄します。だから便秘解消に抜群の効果を発揮するのです。さらにコレステロール値や血糖値を抑える働きを持っているため生活習慣病の予防にも有効。また昨今の研究で、セラミドという皮膚の角質層に存在する脂質が豊富に含まれていることが判明しました。セラミドは「角質層のバリア機能と角質層に存在する水分を守る」という肌の乾燥予防に重要な働きをする成分。こんにゃくは砂払いだけでなく、乾燥肌も予防してくれる優れものなのです。
こんにゃくは仏教伝来とともに日本に伝わったと言われています。初めは薬用として、後には長く禅寺の精進料理として利用され、広く庶民に食べられるようになったのは江戸時代後期。末期には『蒟蒻百(こんにゃくひゃく)珍(ちん)』という料理本が登場するほど、こんにゃくは整腸作用の高い食べ物として人々の食生活に根をおろしました。
蒟蒻百珍からレシピをひとつご紹介しましょう。レシピ名は「いりだく」。うすく切ったこんにゃくを、ごま油を敷いた薄鍋に入れて、ジャッジャッと音を立てて炒め、水分が飛んだらOK。大根おろしやわさび醤油しょうゆでどうぞ。ヘルシーで、メタボリックが気になる方に特にお勧めです。

                            沢木みずほ(『週刊金曜日』連載より)

さら湯の「さら」は「完璧に新しい」という意味。沸かしたての一番風呂ともいいましょうか。一番風呂ってきれいでお湯もたっぷりで、ザブンと入ったら極楽!って感じですよね。そのため一番風呂はその家で一番偉い(?)人が入るのがかつての家父長制度のしきたりでした。まず一家の主が入り、間違っても汗と埃にまみれた子どもたちや、主婦が入ることはありませんでした。でも実はこの入浴順が、特に肌の弱くなった女性を守るのに最適の環境だったのです。
浸透圧って覚えていますか。何十年も前に習ったような記憶が…という方のために、軽くおさらいしましょう。浸透とは「濃度の異なった水が同じ濃度になろうとして移動する現象」のことで、移動する強さを浸透圧といい、濃度は低い方から高い方に染み込んでいく性質を持っています。
この浸透圧が「さら湯は身の毒」といわせる張本人なのです。
お風呂に入ると、湯と体液の濃度を同じにするために浸透が起こります。特に真水のさら湯は濃度が低く(含有物が少ない)、体液の濃度とは異なるため、水の移動が過激に行われます。湯は体内に入り、体内からは体液が湯に溶け出る。濃度を同じにするために浸透圧が働きます。体液の主成分は塩分ですが、カリウム・マグネシウム・鉄・亜鉛などのミネラルが含まれています。つまり「体液が溶け出る」=「体内のミネラル流失」という構図になるのです。さらに、体を守るバリア機能の皮脂も失われていますから、入浴後の体内からは水分がどんどん抜け出ていきます。水分を失った肌は乾燥し、かさついていきます。
さら湯に入るとミネラルが失われて肌がかさつくのですから、体によいとはいえませんよね。皮脂は年齢に応じて減少し、女性は皮脂分泌が少ないので、お年寄りや女性は肌のかさつきが強く出るので要注意です。
この現象を防ぐには、湯と体液の濃度差がないお風呂に入ること。てっとり早いのは数人が入った後の体液が溶け出ているお風呂に入ることです。体液が溶け出ている湯は、濃度の差がないため浸透圧が起こらず、体への負担が少なくてすむからです。
日本人はお風呂が大好き。でも「一番風呂は馬鹿が入る」なんてことわざもあるのですから、入り方には気をつけましょう。どうしても一番風呂に入りたいという方は、ミネラルを含有した入浴剤を使って下さい。手軽なのはひとつかみの天然塩。塩のミネラルが「身の毒」を軽減してくれます。

                            沢木みずほ(『週刊金曜日』連載より)