Archive for 5月, 2009

レシピ


recip-okuraganbo

オクラのトマト煮ガンボ風

ビタミンB1の豊富なオクラと豚肉で、夏の胃腸を強化する
ガンボはアメリカ南部の代表的なスパイシーな煮物です。家庭ごとに特有の作り方があり、「アメリカのお袋の味」のような料理で、肉も野菜も魚介も、好みのものを入れて作ります。夏バテで弱った胃腸を整えるオクラの働きに、糖質をエネルギーに変える豚肉を一緒に取り、さらにビタミンB1の吸収を高める玉ねぎとにんにくがプラスされ、夏のスタミナ食になります。アフリカではオクラのことをガンボといいます。

材料(2人分)
オクラ 10本
豚肉 200g
なす 1個
玉ねぎ 1/2個
にんにく 1片
サラダ油 大さじ2
トマト缶 1缶(200g)
A 固形スープ 1個
  白ワイン 大さじ2
  塩、こしょう 各適量
付け合わせ(全粒粉のパン)

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●作り方
① オクラは柄の先を切り取り、ガクのとがった部分を斜めに浅くむき取る。
② 豚肉は食べやすい大きさに切る。
③ なすは一口大の乱切りにし、水に放しておく。
④ 玉ねぎは薄切りにする。
⑤ にんにくはみじん切りにする。
⑥ 鍋にサラダ油・にんにく・玉ねぎを入れ、中火でよく炒める。香りが出てきたら肉を加えて炒める。
⑦ 肉の色が変わったら、なす、トマト缶、Aを入れて約10分煮る。
⑧ ⑦にオクラを入れ3~4分煮てから、塩、こしょうで味を調える。

白米の食べ過ぎがビタミンB1不足の原因だった

脚気はビタミンB1欠乏症により、心不全や末梢神経障害を起こし、下肢に痺れ(しび)やむくみが現れる病気です。
1960年代に小学生だった方なら、健康診断の時に膝(しつ)蓋(がい)腱(けん)を木槌のようなもので叩かれ、膝(しつ)関節(かんせつ)がポンと跳ね上がったら大丈夫といわれた記憶がありませんか。あれが脚気診断でした。ビタミンB1不足が原因なので、B1含有の食べ物を摂る事が大切なのですが、なぜ麦飯が栄えあることわざに選ばれたのでしょうか。理由は江戸時代に遡ります。
江戸の後期、「江戸(えど)患い(わずらい)」という病が広く一般に流行しました。脚気のことなのですが、原因が分からず白米を食べる人に多く発症したため「贅沢病(ぜいたくびょう)」とも呼ばれました。
白米が贅沢? 実はそれまで白米を口にしていたのは一部の上流階級や富裕層だけ。瑞穂(みずほ)(稲穂)の国と呼ばれる日本なのに、庶民の主食は麦や雑穀で、白米はハレの日の食べ物。白い米は庶民の憧れの食べ物でした。その白米を食べられるようになったのですから、それは嬉しくてお腹一杯食べ、その結果、脚気になる人が続出したのです。大正時代になると、さらに脚気患者は急増し、結核と並ぶ「二大国民病」といわれ、深刻な国民問題となりました。このことから「白米を食べると脚気になる」「麦を食べていた頃は脚気にならなかった」という脈絡の結果、「脚気に麦飯」ということわざが誕生したのです。
なぜ白米を食べると脚気になったのでしょうか。
米は稲の種子で、もみ殻に包まれています。もみ殻を外した米が玄米で、ぬか層・胚乳・胚芽で構成され、特に胚芽部分にはビタミンB群やミネラルなどが多く含まれています。ですから玄米を食べていればビタミンB1欠乏にはなりません。しかし「銀しゃり」と呼ばれた白米は、大切なビタミンやミネラルが取り除かれた米。その米を主食として一日三回、少ない副食でお腹一杯食べたのですから、食べるほどB1が欠乏するという状態になり、脚気を発症してしまったのです。
B1不足を解消したいけど、麦飯はどうも…という方には小豆飯をお勧めします。「脚気に小豆飯、麦飯」という言い伝えがあるように、小豆は麦飯と肩を並べるビタミンB1の優等生。麦飯は特有の香りと、やや固く粘りけが少ないため食べにくい感がありますが、米の比率を増やし、水分を多くして炊くことで、美味しく食べることができます。

                             沢木みずほ(『週刊金曜日』連載より)

「親が死んでも食休み」とは、例え親が死んでも食事の後は休みなさいという意味ですから、ちょっと過激なことわざですよね。大切な親の死よりも食後の休息が大切だと敢えて強調する真意は、食後の休みが消化吸収、ひいては健康に欠かせないという故です。
消化とは、「食べたものが胃や腸などの消化器官で、栄養分として体内で吸収されやすい形に分解されること」。私たちは健康維持のため、必要な栄養を含んだ物を食べますが、食べたものがそのまま栄養になる訳ではありません。食べたものは口→食道→胃→小腸→大腸という各消化器官を通過する間に、酵素などによって消化吸収され、必要な栄養分と滓(かす)に分類されていきます。栄養分は血液を通して体内の隅々まで運ばれ、滓は肛門から排泄されるという消化吸収メカニズムにより、健康を維持しています。
消化吸収は食べた直後からスタート。その時、体中の血液は最優先で消化器官に集まり、各消化器官がフル稼働できるよう、バックアップに働きます。一方、消化器官に回されたため血液が十分に行き届かなくなっている脳や筋肉の状態はどうなるかというと、頭はボオッ~として動作はノロノロ…。食後に起こるこの状態、経験おありですよね。
これが正常なのです。健康を維持するには、消化器官に血液を送ってフル稼働させ、消化吸収させて食べ物を栄養成分に変えることが最優先。何故ならこの栄養成分が丈夫な臓器を作り、免疫力を高め、細胞再生に働くからです。
ところが、食後に動くと消化吸収がスムーズに行われません。これは身に危険を感じた時、動物の体は消化よりも筋肉を使う(動く)ことを最優先するという危機管理メカニズムを備えているからです。消化が大切だと分かっていても、体は何はさておき血液を筋肉に送り、体の活動を優先させます。結果、消化器官の働きは鈍くなり、不十分な消化から消化不良が起こって吸収力が落ち、免疫力や細胞再生にマイナスの影響を与えていくのです。健康を維持するためには、食後はできるだけ動かないこと。十分な血液を消化器官に送り、消化と吸収がスムーズに行われる状況を作ることが大切なのです。
食休みの目安は20~30分。仮眠もいいですね。ただ、消化する前に長時間寝てしまうと、吸収されたエネルギーが消費されずに体脂肪となって蓄積され、肥満の原因になるので要注意。特に基礎代謝が落ちてくる30代以降は気をつけましょう。

                             沢木みずほ(『週刊金曜日』連載より)

お茶好きな方なら聞いたことがあり、理由も何となく分かっていることわざではないでしょうか。ここでは「何となく」を科学的に証明してみましょう。
まず、宵越しとは「一晩を過ごすこと」。つまり昨夜の急須に残ったままのお茶を飲む・残った茶葉でお茶を飲んではダメということで、さてその理由とは?
「美味しくないから」…これは納得です。お茶の美味しさは新鮮な茶葉での淹れたてにこそあるのですから、昨夜淹れたお茶が美味しくないのは当然のこと。でも美味しさだけだったらガマンできるし、まだ飲めるお茶を捨てるなんてもったいないっていう気持ち、ありますよね。味覚だけならガマンもいいのですが、健康に害を及ぼすとなると慎重にならざるを得ません。宵越しの茶がNGになる科学的根拠をお話ししましょう。
根拠①として、たんぱく質が腐敗分解して有害なものに変質する可能性があるため。お茶にたんぱく質?と思われる方もいるかと思いますが、茶葉(煎茶)には100グラム中24.5グラムという、納豆よりも多くのたんぱく質が含まれています。茶葉のたんぱく質は水分を含んだ状態で高い温度のまま放置されると、空気中の微生物によって分解されて腐敗し、時として食中毒を起こしたりします。茶葉には強力な抗酸化力を持つカテキンが含まれており、茶葉のたんぱく質腐敗を阻止しています。しかし、カテキンは水溶性のため抽出された後は効力が失われ、殺菌力が働きません。カテキンが溶け出た茶葉のたんぱく質は、腐敗が進行していく運命にあるのです。
根拠②として、茶葉を長い時間湯に浸けておくとタンニンが大量に出るため。タンニンは茶の渋み成分で、適量だと胃液の分泌を促し消化を助ける働きがありますが、過剰摂取は、逆に胃の粘膜を荒らして消化不良を起こす原因にもなりかねません。味や色も悪くなり、収斂作用があるため便秘を引き起こすこともあるのです。
お茶は効能成分の素晴らしさから「養生の仙薬」「万病に効く薬」などとも呼ばれ、まつわることわざは数え切れない程ありますが、その中で唯一科学的根拠をもってNGを出されているのがこのことわざなのです。
一度だけしか淹れていない茶葉をどうしても捨てたくなかったら、湯をよくきって茶葉の入ったままの急須を密閉袋などに入れ、冷蔵庫で保存してください。温度を下げて密閉することで微生物による分解腐敗を防ぐことができ、無駄なく飲みきることができます。

                                沢木みずほ(『週刊金曜日』より)