牛乳(ぎゅうにゅう)
紀元前4千年ころのエジプトやメソポタミアの壁画から牛乳のあったことが推測されるほど古い歴史を持ち、当時は医薬品としても使われていたと考えられています。日本では701年に都の近くに皇族用の搾乳所がつくられ、784年の『医心方』に牛乳の効能が書かれています。8代将軍吉宗はインドから白牛を輸入して牛乳の普及を図りましたが、本格的に普及したのは明治時代になってからです。日本で多いホルスタイン種の牛は、乳量は多い反面、成分的に薄くそのため欧米の牛乳に比べて淡白に感じられることがあります。
牛乳の種類
牛乳:生乳を加熱殺菌したもので乳脂肪分が3.0%以上で、無脂乳固形分8.0%以上の成分を含むもの。
成分調整牛乳:生乳から乳脂肪分の一部を除去したり、水分の一部を除去して成分を濃くするなどの調整を行ったもの
低脂肪牛乳:成分調整牛乳の乳脂肪分を0.5%以上1.5%以下にしたもの。
無脂肪牛乳:成分調整牛乳の乳脂肪分を0.5%未満にしたもの。
加工乳:生乳の乳脂肪を加工したもの。濃厚ミルクや低脂肪乳などをいう
乳飲料:生乳に乳製品以外のもの(コーヒーや果汁、カルシウムやビタミンなど)を入れたもの
成分
たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン類やミネラル類をバランスよく含有している。とくにカルシウムは質・量ともに多く消化吸収に優れている。鉄分や亜鉛も多い。ビタミンA、B2、Cなどのビタミン類も豊富。
効能
牛乳のカルシウムは吸収力に優れ、豊富なたんぱく質と一結合して骨や歯を作り、骨粗鬆症を予防する。また、神経の高ぶりを鎮め安定させる効果も高い。ビタミンB2が過酸化脂質を抑え、ビタミンCやEと一緒に動脈硬化などの生活習慣病の予防に働く。乳糖は鉄分の吸収を助けるので、含有されている鉄分と一緒に貧血予防に有効。ビタミンAやCが風邪を予防し美肌を作る。
効果的な調理のポイント
- 加熱した時にできる膜は良質なたんぱく質なので無駄なく取るとよい。
- 牛乳を飲むと下痢をする乳糖不耐症と呼ばれる人は、温めた牛乳を、少しずつ量を増やし飲むようにすると乳糖分解酵素が体内に増えてきて下痢をしなくなる。
- 粒子が細かいので、アルコールを飲む前に飲んでおくと胃の粘膜を保護してくれる。
- 保存は冷蔵庫でする。
- においを吸収しやすいので、強いにおいのものを傍に置かないようにするとよい。
レシピ
押し麦と鶏肉の牛乳スープ
「五穀の長」で体力増強
所要時間:50分
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たんぱく質と脂質が豊富な押し麦と鶏肉は、消化が促進され、体力が増強する食べ合わせです。脂質は良質でコレステロールの低下に働き、押し麦の豊富な食物繊維が腸の働きを整えるのと同時に血中コレステロール値減少に働き、動脈硬化を予防します。ビタミンやミネラルを含んだ大麦は、「五穀の長」と呼ばれています。
●材料(1人分)
押し麦……1/3カップ
鶏肉……50g
玉ねぎ……50g
にんじん……20g
にんにく……1片
オリーブ油……大さじ1
スープ……2カップ
塩……適量
牛乳……1カップ
塩、こしょう……各適量
●作り方
① 押し麦は洗い、水気をきり、20~30分置く。
② 鶏肉は1cm角に切る。
③ 玉ねぎは皮をむき、1cm角に切る。
④ にんじんはよく洗い、5~6mm角に切る。
⑤ にんにくは薄切りにする。
⑥ 鍋にオリーブ油とにんにくを入れ、炒める。
⑦ にんにくの香りが出たら鶏肉を入れ炒める。
⑧ 鶏肉に火が通ったら、玉ねぎと押し麦を入れ、よく炒める。
⑨ 押し麦の表面に焼き色がついたら、にんじんを入れ、炒める。
⑩ ⑨にスープを入れ、弱火で約20分煮込み、塩・こしょうで味を調える。
⑪ ⑩に牛乳を入れ、沸騰しないように弱火にし、約10分煮る。