牛肉(ぎゅうにく)

飛鳥時代の肉食禁止令で禁止された肉は「牛、馬、犬、鶏、猿」の五蓄。ただし毎年4月から9月までの農耕期間と限られ、年間を通じて五蓄以外は食されていたと推測されています。戦国時代には足軽が非常食として牛を鉄板で焼き食したとの文献が残っており、鎖国が布告されるまでは美味な栄養源とされていました。牛肉が日常食として一般化したのは大正時代になってからです。

部位別

カタ:腕の部分。脂肪が少ない。ビタミンB12を含み悪性貧血に有効。すき焼きに向く。
カタロース:背中に近い肩の肉の部分。霜降りが入りやすい部位。脂質が多い。しゃぶしゃぶに向く。
サーロイン:胸椎の後方部分の肉。脂肪が多くきめの細かいやわらかい肉質をしている。
バラ:腹部の部分の肉。脂肪が多く、肉質はかたい。ビタミンEが多く、老化防止に有効。煮込み料理に向く。
モモ:モモの上部の一番太い部分の肉。脂肪が少なく赤身。鉄、ビタミンB1、B2が豊富で貧血予防、疲労回復、動脈硬化予防に有効。カツに向く。
そとモモ:モモの外側の肉。よく動かす部分なのでかたい。脂質が少なく、鉄、ナイアシンが多い。貧血を予防し血栓を予防する。
ランプ:腰からモモにかけての部分の肉。鉄、ビタミンB1、B2が多い。
ヒレ:サーロインの内側の肉。脂肪が少なく、一番やわらかい。たんぱく質に富み鉄、ビタミンB1、B2、B12を豊富に含む。ステーキに向く。

成分

良質なたんぱく質を含み、脂質含有が高い。鉄分を多く含み、ビタミンB1やB2を含有している。部位により栄養成分が異なる。カタ部分はビタミンB12が多く、バラやロース部分は脂質が多くビタミンEも豊富。ヒレ部分は鉄分が多く、スネ部分はコラーゲンが多い。

効能

良質なたんぱく質が骨や筋肉、血液などを作り、エネルギー源となる。脂質は飽和脂肪酸なので部位を選んで食べるとよい。栄養価が高いので常食すると気力が高まり、虚弱体質を改善する。鉄分が貧血や冷え性を予防し、ビタミンB2が潤いのある肌を作る。コラーゲンが血管を丈夫にし、美肌を作る。

効果的な調理のポイント

  • 牛肉は脂肪の融点が高いので、脂身の多い部位は温かい料理に、赤身の多い部位は冷製料理に使い分けるとよい。
  • 脂肪の多いロースやバラの部位は、脂を落としてから調理するとよい。
  • ステーキを焼く時は、牛脂の代わりに植物油を使うとよい。
  • モモ肉はワインや酢に漬けてから調理するとパサつかず、味もよくなる。
  • 加熱しすぎるとかたくなるので注意する。
  • スネ肉はアルコール類を加えてじっくり煮るとよい。
  • 煮込み料理などは、アクをていねいに取るとよい。
  • 肉が黒っぽいものは鮮度が落ちているので注意する。
  • ブロック肉の場合、冷凍すれば2カ月くらいは保存が効く。

レシピ
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牛肉とにらのキムチ和え
牛肉・にら・キムチで体を温める
所要時間:15分
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牛肉は良質のたんぱく質、脂質、鉄などを含む栄養価の高い肉です。増血作用に優れ、体力や気力の充実に有効です。強壮作用の高いにらは胃腸を温め、冷え性に有効に働き、抗酸化力の高いキムチを加えることで、体を温める効果は倍増します。腰痛や脚のだるさにも有効です。

●材料(2人分)
牛肉(薄切り肉)……70g
にら……1/2束(8本)
キムチ……30g
にんにく……1片
ごま油……大さじ1/2

●作り方

① 牛肉は熱湯でさっと茹で、一口大に切る。
② にらは2~3cm長さに切る。
③ キムチは細かく刻む。
④ にんにくはみじん切りにする。
⑤ フライパンにごま油とにんにくを入れ弱火て炒め、香りが出たらにらを加え、中火でさっと炒める。
⑥ ボウルに⑤、牛肉、キムチを入れ和える。