鶏肉(とりにく)

にわとりはもともと野生の鳥でしたが、今では家禽(かきん)の代表といえましょう。人間が農耕生活を送るようになった約5000年前から一緒に暮らすようになり、鳴き声で時を知らせたり、闘鶏の結果で吉凶が占われていました。昭和30年代から食肉用としての養鶏が盛んになり、用途別に改良が進められました。食肉用若鶏のブロイラーに対し、日本在来の品種は地鶏といわれ区別されています。

部位別

手羽:手羽元、手羽中、手羽先に分けられる。手羽先は特にゼラチン質を含んでおり、美肌効果が高い。煮物や揚げ物に向く。
ムネ:胸部の部分の肉。モモ肉よりも白っぽく脂肪が少なく淡白。ビタミンAが多く風邪の予防や肌荒れに効果がある。和風や中華に向く。
モモ:ももの部分の肉。赤みがあり脂質も適度に含まれ、料理の応用範囲が広い。ビタミンB2の含有が高く、動脈硬化などの生活習慣病の予防に有効。フライや煮物、焼き物に向く。
ササ身:両手羽に一つずつある深胸筋。形が笹の葉に似ていることからこの名がある。高たんぱくで脂肪が少なく、あっさりした味で、胃腸の弱っている時に向く。新鮮なものは刺身に向く。

成分

たんぱく質が豊富、特に必須アミノ酸のメチオニンが多く含まれている。ビタミンA、B1、B2のビタミン類が豊富で、ビタミンAは牛肉や豚肉よりも多く含有されている。脂質は不飽和脂肪酸が多く、皮の部分に多く含まれている。部位により成分も異なり、手羽部分にはコラーゲンが多く、胸部分はナイアシンが多く、モモ部分には鉄分が多い。

効能

良質なたんぱく質は消化がよく、特に病後の体力回復に効果がある。メチオニンは肝脂肪の予防に働き、豊富なビタミンAが粘膜を丈夫にして細菌感染を予防し、がん予防効果も高い。不飽和脂肪酸がコレステロールを減らし、生活習慣病予防に有効に働く。コラーゲンが体や脳を老化から守り、ナイアシンが舌炎や口内炎を防ぐ。鉄分が貧血予防に有効に働く。

効果的な調理のポイント

  • 肉が水っぽく感じられた時は、塩をすりこんでしばらく置くとよい。冷蔵庫に入れておくと身がしまる。
  • 牛肉や豚肉よりも傷みやすいので、早めに食べるとよい。
  • 皮の部分はカロリーが高いので、取り除いて食べる方がよい。
  • 皮付き肉の鮮度は皮の毛穴でチェックする。毛穴の周囲が盛り上がり、皮全体に細かいちりめん状のシワが入っているものほど鮮度が高い。
  • パック詰めのものは肉汁が出ていないものを選ぶとよい。この肉汁が劣化の原因となる。
  • 保存する場合は、さっと水で洗い、水気を取ってから布巾などでぴっちり包み、密閉用器に入れ保存する。冷蔵保存の場合は1~2日間、冷凍保存の場合は3週間を目安に使い切るとよい。
  • 部位によって料理法を変えるとうま味を引き出すことができる。手羽は揚げ物や煮物、ムネ肉は煮物や炒め物、モモ肉は唐揚げ・焼き物・煮物、ササミ肉は蒸し物・新鮮なら刺身にするとより美味しく食べることができる。

レシピ
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鶏手羽のビール煮
栄養補給と美肌に効く
所要時間:40分(卵を漬け汁に漬ける時間は除く)
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「液体のパン」と呼ばれるビールにはさまざまな栄養成分がバランスよく含まれています。牛肉をビールで煮込むビール煮はベルギーの代表料理。残ったビールで鶏手羽元を煮込んでみましょう。消化がよく良質なたんぱく質を持つ鶏肉とビールは、体力を強化する働きに優れているため病後の栄養補給に有効で、ビールに含まれる葉酸と鶏手羽元に含まれるコラーゲンが、美肌作りに働きます。

●材料(2人分)
鶏手羽元……6本
ビール……150㎜l
たまねぎ(小)……1個(130g)
にんにく……1/2片
オリーブ油……大さじ1
塩、こしょう……各適量
A スープ……50CC
  粒マスタード……小さじ1
  ローリエ……1枚
飾り用パセリ……少々

●作り方

① 鶏手羽は塩・こしょうをし、油(分量外)を薄く敷いたフライパンに皮の方を下にして入れ、焼き目がつくまで焼く。
② たまねぎは薄切りにする。
③ にんにくは包丁の背でつぶす。
④ 鍋にオリーブ油を熱し、たまねぎとにんにくを入れ、弱火で甘みが出るまでじっくり炒める。
⑤ ④に鶏手羽、ビール、Aを入れ煮る。煮立ったらアクを取り、弱火でコトコト約20分煮る。
⑥ いったん鶏手羽を取り出し、鍋に残った煮汁を半量まで煮詰め、塩・こしょうで味を調えたら鶏手羽を戻し、煮汁と煮絡める。
⑦ 器に盛り、パセリを飾る。