豚肉(ぶたにく)
『日本書紀』にすでに食用の記録が残っているほど、古くから食べられていた肉で、ヨーロッパからアジアにかけて分布していたイノシシが家畜化されたものです。世界でもっとも古くから豚肉を食用として活用していたのは中国民族で、中国では豚は捨てる部位がないといわれています。日本では明治中期以降から飼育が盛んになり、長寿日本一の沖縄でもっとも消費されている食材です。
部位別
カタ:カタロースとうでを合わせた部分をいう。よく動かす部分なので肉質はかため。ビタミン類やミネラル類が多い。
カタロース:カタのロースの部分をいう。風味がある。脂質が多く、ビタミンB12が多い。
ロース:カタとモモの間にある背側の肉。表面は脂肪で覆われており、きめが細かくやわらかい。脂質が多くビタミンB1が豊富。
バラ:カタとモモの間にある腹側の肉。赤身と脂身が交互に層をなしているので三枚肉ともいわれている。脂質が多くうまみがある。ビタミンAとEが豊富に含まれている。
モモ:脚上部の腰につながる部分の肉をいう。かためだがコクがある。ナイアシンが豊富なので皮膚病や血栓予防に優れている。脂質が少なくビタミンB1が多い。
ヒレ:ロースの内側にある肉をいう。脂質が少なくたんぱく質に富んでいる。部位の中ではビタミンB1、B2ともに一番多く含んでいる。疲労を回復し生活習慣病の予防に有効。
豚足:コラーゲンを多く含み、増血作用も高い。
成分
良質なたんぱく質を含有し、ビタミンB1は牛肉の10倍含まれている。ビタミンAやB2、Eも多く含まれている。部位により成分が異なり、豚足にはコラーゲンが含まれている。カタ部分にはビタミン類やミネラル類が多く、ヒレ部分はB1が多い。モモ部分は脂肪が少なくナイアシンが多い。
効能
たんぱく質はアミノ酸バランスに優れ、体力を増強する。ビタミンB1が疲れの元となる乳酸の蓄積を防ぎ疲労回復に有効に働く。ビタミンEが老化を予防し、ビタミンB2が脂肪の代謝を助け、肌荒れを予防する。コラーゲンが肌の若々しさを保ち、ナイアシンが皮膚炎を予防する。
効果的な調理のポイント
- ビタミンB1を生かすにはねぎやにんにく、にらなど硫化アリルを含む食べ物と一緒に取ると吸収が5~6倍高まる。
- ビタミンB1は水溶性なので炒め物の方が栄養分の損失が少ない。
- 食べすぎで増えるピルビン酸はクエン酸と一緒に取るとエネルギーに変わるので、レモンなどと一緒に取るとよい。
- 寄生虫がいることがあるので、加熱をしっかりする。
- バラ部分は脂肪が多いので、一度ゆでて脂を落としてから調理するとよい。
- 脂肪が多い部位は酸化しやすいので、早く食べるとよい。
レシピ
カレー煮豚
所要時間:1時間30分~1時間40分(一晩寝かす時間は除く)
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ナイアシンを豊富に含んだ豚モモ肉に、抗酸化力の高いカレー粉をすり込み、さらにカレー粉で煮込んだ煮豚は、皮膚炎を予防し体を若々しく保つ働きを期待できる一品です。しょうがとにんにくをプラスして、抗酸化力をさらに高め、細胞の酸化を防ぎます。味がしっかり付いたほうがおいしいので、一晩寝かすとよいでしょう。
●材料(2人分)
豚モモ肉(塊)……250g
カレー粉、片栗粉……各大さじ1
しょうが……1/2片
にんにく……1片
サラダ油……大さじ1
A カレー粉……小さじ2
しょうゆ……大さじ2と1/2
酢……大さじ1と1/2
砂糖……大さじ1
●作り方
① しょうがとにんにくは、薄いスライスにする。
② 豚モモ肉は塊のまま全体にカレー粉をすり付け、さらに片栗粉をすり付ける。
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③ フライパンに油を熱し、豚肉を入れ、中火で転がしながら表面に焼き色が付くまで焼く。
④ 鍋に肉、A、肉がかぶる位の水、しょうがとにんにくを入れ、強火で煮立てる。
⑤ 煮立ったら弱火にして、煮汁が少なくなるまで約1時間20~30分、コトコト煮込む。途中煮汁が少なくなったら、肉を返しながら均一に味を付けていく。
⑥ 粗熱が取れたら、食べやすい厚さに切り、煮汁をかける。