羊肉(ようにく)

生後1年未満の子羊肉をラム、1年以上経った成羊肉をマトンと呼び、欧米ではもっともポピュラーな動物で、中世ヨーロッパでは旅行に出る時には必ず1匹連れ歩き、毎日新鮮な乳を得たといいます。1万年以上の歴史を持ち、家畜化されたのは8千年前といわれています。捨てる部分が出ない無駄のない動物で、腸(ガット)は弦に使われることから、テニスの弦はガットと呼ばれています。脂肪燃焼に働くカルニチンが豊富に含まれていることからダイエット肉として人気があり、中国伝統医学では羊肉は体を温める肉として特に冬場には欠かせない食材で、「女性の肉」とも呼ばれています。

成分

良質なたんぱく質を持ち、脂肪分が少ない。ビタミンB1、B2、Eを豊富に含有し、鉄分も多い。昨今の研究でカルニチンが豊富に含まれていることが知られている。

効能

良質で豊富なたんぱく質が体力を強化し、気力を充実させる。消化がよく滋養強壮に有効。ビタミンB1の働きと一緒になり、病中・病後の体力回復に効果が高い。脂肪分が少ないのでコレステロールの心配がなく、ビタミンB2が動脈硬化などの生活習慣病予防に働く。鉄分が増血作用に働き貧血や冷え性を予防する。胃腸を温める働きがあり、腹痛や下痢を緩和する働きがある。カルニチンは動物性たんぱく質に含まれ、体内に取り入れられると必須アミノ酸のメチオニンとリジンを原料に作られるアミノ酸の一種で、脂肪酸を細胞内のミトコンドリアに運び、脂肪燃焼に働くため、ダイエット効果が期待できる。

効果的な調理のポイント

  • 特有のにおいは脂部分に含まれているので、においが気になる場合は脂をていねいに取るとよい。
  • 香辛料や香味野菜を使うと、特有のにおいを消すことができる。にんにく、ワイン、ヨーグルト、カレーパウダー、味噌などに浸けてから調理すると食べやすくなる。
  • 脂質は飽和脂肪酸のステアリン酸が多いため、冷めるとかたまりやすく消化も悪くなるので、調理したら熱い内に食べるとよい。
  • レッグ(モモ肉)は牛肉同様たたきとして食べることができ、栄養素を損なうことなく取ることができる。
  • ビタミンB群を豊富に含んでいるので、夏バテ予防にもぴったり。特に冷房などで体が冷えている時に食べるのがおススメ。
  • 保存する時は、ラップにしっかり包んで保存袋に入れ冷蔵庫なら2~3日、冷凍庫なら2~3週間保存できる。
  • ラム肉はうす紅色のもの、マトン肉は赤色のものがよい。脂肪部分は純白なものを選ぶとよい。

レシピ
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羊肉とグレープフルーツのカレー
ダイエット効果が期待でき、貧血予防も有効
所要時間:60分
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羊肉はアミノ酸バランスに優れた良質なたんぱく質を持ち、脂肪分も少なく、鉄分を豊富に含んでいる肉です。アミノ酸の一種のカルニチンという成分が含まれており、脂肪の燃焼に働くため、ダイエットに有効です。抗酸化力の高いにんにく・しょうが・カレー粉が、細胞の酸化を防いで免疫力向上に働きます。ビタミンCが豊富なグレープフルーツをプラスすることで、鉄分の吸収を高めて貧血を予防します。

●材料(2人分)
ラム骨付き肉……4本(280g)
牛乳……適量
オリーブ油……大さじ2
たまねぎ(小)……1個
トマト……1個
にんにく、しょうが……各1片
グレープフルーツ……1/2個
A 小麦粉……大さじ1
  塩……小さじ1/2
B スープ……3カップ
  カレー粉……大さじ1
  ヨーグルト……大さじ3
  塩……少々

●作り方

① ラム骨付き肉をヒタヒタの牛乳に約30分浸ける。
② Aをよく混ぜ、ラム肉にまぶす。
③ フライパンにオリーブ油大さじ1を熱し、ラム肉を入れ、中火で両面に焦げ色がつくまで焼く。
④ たまねぎは薄切りにする。
⑤ にんにく、しょうがはみじん切りにする。
⑥ トマトはヘタを取り、1cm角に切る。
⑦ 鍋にオリーブ油大さじ1と④⑤を入れ、弱火で炒める。
⑧ 香りが出たらトマトを加えて炒め、ラム肉、Bを入れ、中火で約20分煮る。
⑨ 袋から取り出したグレープフルーツを加え、さっとひと煮立ちさせる。