スイレン科多年草の蓮の実で、「蓮肉(れんにく)」「蓮子(れんし)」とも呼ばれています。古来より蓮は天国をイメージする清浄な花で、その実の栄養価は高く、非常食として珍重されていました。古代ギリシャの叙事詩オデッセイアでは「今日も蓮の実を食べて飢えをしのいだ」と書かれています。弥生時代の蓮の種子が見事に開花したように生命力の高い植物です。
成分
炭水化物が多く、カリウム、カルシウム、リン、鉄などのミネラル類を含んでいる。食物繊維も含まれている。
効能
炭水化物がエネルギーとなり体力がつく。ミネラル類が体の機能を整え、強壮や健胃効果があり、食物繊維が便通を整え下痢予防に働く。
効果的な調理のポイント
・1日15~20粒の蓮の実を、弱火でじっくり煎って食べると免疫力が高まる。
・ビタミンDの豊富な食材と一緒に取ると、カルシウムの吸収が高まる。
・サラダや和え物などで、ビタミンCの多い食材と一緒に取ると、不足しているビタミンCが補える。含有している鉄分の吸収を高めることができる。
・お菓子の材料にしたり、ごはんに入れて炊き込む。滋養強壮食として薬膳料理によく登場する。
レシピ
蓮子(レンズ)と呼ばれる蓮の実は、生命力を養う食べ物として中華料理では頻繁に登場します。良質のたんぱく質を含み消化のよい鶏肉と一緒に食べ合わせると、体が温まって血流がよくなり、体力がつきます。蓮の実も鶏肉もお腹を温める働きがあるので、病後の体力が落ちた時にとくに効果が期待できます。
●材料(2人分)
白米 1/2カップ
水 3と1/2カップ
蓮の実 15g
鶏肉(もも肉) 100g
塩 適量
薬味(ごま、炒り卵) 適量
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●作り方
① 白米を洗い、鍋に分量の水と一緒に入れ、3~4時間置く(できれば一晩)。
② 蓮の実を鍋に入れ、かぶるくらいの水を加えて沸騰させ、ザルに取ってゆでこぼす。2~3回くり返す。
③ 鶏肉は1cm角に切る。
④ ①に蓮の実、鶏肉を入れ中火にかける。煮立ったらアクを取り、弱火にする。フタを少しずらして乗せ、20~25分コトコト炊く。
⑥ 塩で味を調える。