奈良時代に中国から渡来。『日本書紀』では「於朋花(おほね)」と記されています。春の七草では「すずしろ」と呼ばれ、古くから食べられていた野菜です。原産地はヨーロッパ地中海沿岸から中央アジアといわれ、品種は紅色、紫、茶、褐色、黒、灰色と多様です。栽培が盛んになった江戸時代には加工も進み、飢饉対策食料として奨励された野菜です。秋から冬にかけて収穫される大根は、水分が多くて甘みが強いのが特徴です。
成分
水分が約95%を占め、糖質は約3.4%。たんぱく質や脂質、ビタミン類も含んでいる。根には食物センイも多い。葉の部分は緑黄色野菜でカロテンやビタミンC、カルシウム、鉄分が豊富。辛み成分はイソチオシアネートというからし油の成分。でんぷん消化酵素のアミラーゼを含み、皮の部分にはビタミンPが含有されている。
効能
根の部分のでんぷん消化酵素は胸焼けや胃酸過多、二日酔いなどに有効。葉の部分に多いカロテンとビタミンCは吹き出物や美肌に効果がある。ビタミンPは毛細血管を丈夫にする働きを持っているので、脳卒中の予防が期待できる。食物繊維は腸を掃除し大腸がん防止に働く。イソチオシアネートは胃液の分泌を促進し、腸の働きを整える。
効果的な調理のポイント
- ビタミンCは皮の方に多く含まれている。またビタミンPも皮の部分に含まれているので、皮ごと使える有機栽培の物を使うとよい。
- 部位によって味が違う。葉に近い部分はおろしやサラダに、真中は煮物、根に近い部分は汁の実や漬物に向く。先端にいくほど辛みが増すので、薬味に使うとよい。
- 消化酵素は熱に弱いので、生食で食べる方が有効。
- 辛み成分はすりおろすと生成される。
- 大根おろしは時間がたつとビタミンCの含有量が減るので、食べる直前におろすとよい。酢を混ぜておくとビタミンCが壊れにくくなり、辛みも和らぐ。
- 葉が根の水分を吸収してしまうので、購入したら葉と根を切り離すとよい。
レシピ
大根そば
大根のビタミンPとそばのルチンが、毛細血管を強化する
所要時間:20~25分
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大根の皮の部分に含まれるビタミンPと、そばに含まれるビタミンPの一種であるルチンの働きで毛細血管が強化され、脳卒中予防が期待できる一品です。そばの植物性たんぱく質とツナの動物性たんぱく質はともにアミノ酸バランスがよく、栄養価に優れています。しょうがの香り成分には健胃効果があります。
●材料(2人分)
大根 350g
そば(乾) 2人分
ツナ缶(小) 1缶
あさつき(小口切り) 大さじ2
A しょうゆ 大さじ3
砂糖 少々
酒 少々
しょうが汁 小さじ2
七味とうがらし(好みで) 適量
●作り方
① 大根はよく洗い(皮をむく時はできるだけ薄く)、食べやすい長さの細切りにする。
② そばはたっぷりの湯で湯がいておく。
③ 熱湯4カップで大根を煮る。
④ 大根がやわらかくなったら、ツナ缶、Aを入れて煮立てる。
⑤ 器に熱湯に通したそばを入れ、上から④をかける。
⑥ あさつきを飾り、好みで七味とうがらしを添える。